未来の建築家

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23日  

その日の夜は母には特に変わる様子がなく、看護師の間とでは2~3日は大丈夫そうだと義理の姉とも話していた。
私が朝早めに病院に行ければ、姉を帰宅させ少し休ませる事ができると考えていた。
義理の姉に付き添いを任せ22時ごろ帰宅。
仕事を少しして1時過ぎに就寝。
朝4時45分に目覚ましをセットし仮眠を取った。
普段から朝は目覚めが悪く一人では起きることが出来ない。
連日深夜まで及ぶ付き添いと仕事の両立、そして先週から続く病院通いと体調不良で目覚ましをセットしたにも関わらず、まったく起きる自信がなかった。
嫁にその時間に起こすようお願いをするも、嫁自信もすでに体力と気力の限界。いつもの返事は返ってこなかった。

緊張していたせいか、目覚ましが鳴る前に目覚めた。
深い眠りだったのか、浅い眠りだったのか覚えていない。
嫁も驚くほど自分ですっきり起床できた。
嫁の握る朝飯を待つ時間も惜しいほどにすぐ出発したい気分だった。
嫁の行動を急かせ、近くに住む父を迎えに行き、そして病院に向かった。
途中コンビニで栄養ドリンクでも買おうかと迷ったが、タイミングを逃しそのまま病院へ。
薄暗い駐車場には車はほとんどなかった。
外灯のせいか昨日見た街路樹の紅葉が少し進んでいるようにも見えた。

病室に入ると姉たちの安堵の表情が迎えた。
これで少し休むことができると思ったのだろう。
夜中の母の状況を聞いた。
いくらか呼吸が弱くなったような気もするが、変わりない状況に胸を撫で下ろした。

その時だった。

酸素、血圧、心拍ともに急激に下り始めた。
何が起きたのか理解するのに少し時間がかかるほどの急変だった。

まだ家に居る嫁にすぐ連絡。
「もう、あぶない・・・。」

電話を切って母の方を振り向くと、

そこには目を大きく見開いた。
まるで、そこに私が立って居る事を分かっていて、それを確かめるような。

モルヒネを投与してからずっと眠っていたのに。

どうして。

もう、目を開けることはないと思っていたのに。

それはほんの5秒ほどだった。


神様がくれた、ほんの数秒の時間。

「お母さん!待っとったんやね!」
「ありがとう!」
「一杯一杯、ありがとう!」

「もういいよ・・」
(そう、もうこれ以上苦しむことはないよ。。)

想いは届いたのか。
目を見て話を出来たのは何日ぶりだろうか。

6時18分
母の目は、力尽きて。
永遠に眠ってしまった。

母の手は、小さい頃の記憶のままだった。

俺をこの世に産み落とし。

そして34年間もの間、貴方が居ないことなんて今まで一度もなかった。

言えなかった「ありがとう」

そして母に付いた生涯でたった一つの「嘘」
最後まで、家に帰れると思っていた。
最後まで、良くなると思っていた。
最後まで、あと2~3年は生きれると思っていた。
最後まで、孫の小学校入学式を見るつもりでいた。

貴方の病気は治る事のない、そして、肺ガンと告知されてからの余命通りでした。
この事実は、この事実だけは伝えていなかった。
俺が背負った運命と貴方への愛の証でした。

本当にありがとう。
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